kemoxxxxxの日記

kemo cityからの脱出

回る風車はクルクルと。【11】

☆このストーリーはフィクションです。登場人物や会社名などは架空のものです。

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登場人物

<店長>猪田

<主任>坂下

<班長>湯川、九籐(新班長)

<男子従業員>岩佐(担当)、河東(担当)、菊池、他


─ 班長職はつらいよ

【岩佐のケース】

俺は岩佐太郎。この店で従業員のまとめ役担当者(リーダー)をしている。担当と言っても役職でもないし、手当もない。だから従業員と給料は同じ。でも従業員の倍の仕事を押し付けられる。開店準備の用意、従業員の休憩を回す、班長と金回収、閉店作業の指示と真面目にこなしてたら1ヶ月で2〜3キロは痩せる。相変わらず人手不足のこの店は毎日ぎりぎりのシフト表で人員を回している。

毎日が営業出来るか?どうかタイトロープのバカラ札幌店。

従業員(自分も従業員だが)は突発的に休むので非常に困る。だから今のパチンコ店のオートメーション化は楽で仕方がないはず、人件費も削減できるしな(回顧)。

まずはいち早く店長になるためには先ずは班長にならなければならないが、急いでも仕方がない。店長への近道はここの店長のお気に入りになることだ。

しかし俺は主任に嫌われている。

それが問題だが、主任という人は店長がいない時はえばり散らして、従業員に怒鳴って怠け者である。自分に甘く他人に厳しい。そして仕事が出来ない人間だからいつもホールでは問題が起きる。

問題が発生すると全て班長に責任を擦り付ける。班長は直属の上司に逆らえない。この時代の究極な縦社会のこの業界では下手な話を店長や本部へのチクると命取りになる。従業員といえども同じである。


ある日一人の若い男子従業員がある問題について班長に物申したが、聞かない。

その問題とは...最近入社した従業員の自殺であった。彼はすすきのの中心街の有名な十字路にある時計塔目掛けて車で突っ込んだ。正面衝突して即死だった。その本人と仲が良かった菊池という従業員は、自殺した原因はバカラ店の従業員同士の人間関係に問題があると言ってきたらしい。班長も担当もおかしい。この店はとんでもなくおかしいと。

湯川班長は「そんなことをいったい問題にしてどうすんだよ、お前は昔からの友人って訳じゃないんだべ?遺族もいるんだからお前故人を偲んでやれよ!」

だから菊池は主任に直々話をつけに言ったが、もちろん相手にされなかった。逆上したその従業員は勝手に店長がいる時間帯を狙って事務所へと入っていった。


その従業員はあることについて必死に訴えた。店長は最初彼の言い分を聞いていたらしいが、譲らない姿勢のその従業員に対して「うちで働くのが嫌なら今すぐやめてくれ」と言い放ったらしい。その直ぐ後ソファから立ち上がって菊池はその場で辞めた。

その話は噂話から瞬く間に話に尾ひれがついて大きな話題となり全従業員の耳に入る。

実際従業員同士の揉め事があったのかどうかは分からない。特に自分は親しく話したこともない人物だったからだ。しかし昨日まで一緒にホールで働いていた同僚が自殺をした。それも衝撃的な死に方、非常にショッキングな出来事であった。

道新の新聞にも掲載され夕方のローカル番組のニュースにもなっていた。


パチンコ店という場所は、複雑な事情を抱えた20代の男女達が続々と寮に入寮してくる。まず一番多いのは金で困った人間が多い。基本的に呼び出しランプをとってドル箱を下ろす単純労働は学歴も特別な資格も技術もいらない。住むところと他の仕事より高給なパチンコ店の従業員は何も考えずに生きている者達にはとても魅力的な職場である。


今回のこの問題で従業員への締め付けが厳しくなった。班長らは俺たち担当に従業員の風紀を乱さないようにしっかりさせろ!と言う。


一体何をどうしっかりさせろというのか...?担当が風紀係?そんな。

そんな時一番従業員の悩み相談役だった九藤班長。特に女性従業員に慕われ、彼女らの悩み事は尽きず、女同士のいざこざに巻き込まれる九藤班長。

班長になったばかりの九藤班長が徐々に店の不条理な体質に対して不満を持つようになる。彼は言われた仕事はしっかりこなし、初めは主任・店長に対しては従順な姿を見せていた。自分とも従業員全員と仲が良い。

それだけに従業員にとても甘く、店長と主任から九藤は甘いと叱られる姿を度々見るようになる。同僚の班長からも指摘されていた程だった。従業員の前で役職者が怒鳴られていると本人はどう思うだろうか?彼はトム・クルーズ似のイケメンで優しい性格の彼にも裏の顔がどうやらあるみたいだ。よくわからないけど。

班長の中でも順位付けがあるらしく、一番上から湯川、大場、下岡、九藤の順らしい。店長のお気に入りは湯川だ。絶対的な信頼を主任同等に持っていた。

だから主任は湯川を気に入らない奴だと思ってたはずだ。何故なら、ことある事に主任は俺達担当らに湯川のホールでの仕事ぶりを聞いていた。サボっていないか?自分のことを何か言ってないか?

まずは俺が班長になる為にはこの現在の班長らに辞めていって貰わないと困る。湯川が店長のお気に入りだということは主任のこの引っかけに乗ってしまうと大変な事になる。だから俺は湯川の悪口は一切言わなかった。

他の担当は言ってたな、特に河東。彼は酷い。湯川の悪口を言いふらしてる。こいつも駄目だな。しかし主任は河東から情報をくれるからか?河東への主任の評価は高かった。このせいで後々俺の出世を遅らせることになってしまう。

基本的に俺は男子従業員とは間を置いて付き合っている。いつもスタッフルームに座って煙草を吸ってる時に周りに来るのは女子従業員らだし。自分は27歳、従業員らの若い奴がいる中では中堅の年齢。特に班長達とも深い付き合いはしていない。

不満たらたらの面を俺たち担当に見せる九藤くん。普段穏やかな彼は「もうこんなクソ会社やめてやるよ」と常日頃言っていたらしい。辞めるカウントダウンと見た!

これは俺が詳しく知らない時に起きたことなのだが、いきなり九藤班長が早番から来なくなった。従業員は当たり前に簡単に飛ぶ(辞める)けど、どの業種・業界でも言えることだがある時役職者も突然いきなり辞めることが世の常である。入れ替わりが早いパチンコ業界は尚更である。

ただでも足りない班長体制で九藤班長がいなくなったのは大きい。班長達の姿を見てよく分かる。俺たち担当にもしわ寄せが及んでくる。

河東がこの件に関して詳しく知ってそうだが、俺は奴とは一線を置いてるし関わりたくない。こいつはヤク中だからだ。まあ俺は女も出来たことだしのんびりやらせて貰うかな?

九藤班長はしばらく連絡も取らず、必然的に辞めたということになるだろう。そうなると代わりの班長が必要だ。俺は元証券マンのこのホールで数少ない大卒者だ。

ちなみに担当でも順位付けされている。俺は上位だ。間違いなく俺が班長候補になるだろうと確信した日だった。

...次回へ続く


☆最後までお読み頂きましてありがとうございます。

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