kemoxxxxxの日記

kemo cityからの脱出

回る風車はクルクルと。【9】

☆このストーリーはフィクションです。登場人物や会社名などは架空のもので創作物であります。あらかじめご了承ください。

─ あいだが空いてしまいました。申し訳ありません。─

【ここまでの簡単なあらすじ】

前職㈱岡六証券を辞めた岩佐太郎は、次の就職先に「パチンコグループバカラ札幌店」を選び、1ヶ月程でパチンコ店という仕事に慣れていく。そこで彼はパチンコ業界の闇の姿を徐々に見ていく...また店長猪田をトップとした縦社会のグレーな内幕を徐々に知っていく、また担当従業員小林もいた。店長のラジコンと化している坂下主任、腹黒く野心家の主任を目指す湯川班長がいて、反対に温和な性格な班長大場もいた。現場の大変さを鑑みない人望の無い店長の下で、常に人不足で疲弊する従業員達。その為に現場の従業員間の規律はかなり乱れていた。

登場人物

<主任>坂下

<班長>湯川、大場、下岡(新班長)、九籐(新班長)

<男子従業員>小林(担当)、河東(担当)、木本、新井、他

<女子従業員>宮下、菅野、中嶋、他



─ 新たな班長体制スタート

早番、朝だ。

車から降りてドアを閉める、あーかったりぃ。

俺小林は、従業員専用入口へ歩き、ドアを開いて階段室に入る。

小林「ざーす!」

従業員「おはようございまーす!」

新しく班長に昇格するのは誰だろう…まさか俺?とか(笑)ないよな...。いや、下(しも)とくぅだろうな、あの2人か。妥当だわな。でもあの人、前の店で主任やってたし、てっきり八戸さんかと思ったけど。

小林「かっちゃん、あざす!」

河東「あざーす!」

小林「かっちゃん、今日の早番終わりに行くか、ドリームビーチ。」

河東「いくべ!いくべ!いやー、早く事務所開けれやな。もう主任達事務所に入ってるわ。ちょい、ブロン追うわ(ジャラジャラ)。」

小林「なに?もう来てんの?主任。そえばもう8時過ぎるべ」

河東「ああ、下ちゃんがワイシャツとネクタイ姿で現れて、一緒に事務所入っていった。従業員達に少し待機してくれって。」

河東「今日も絶好調だぜ!オラオラオラァ!そえばよ、岩佐の奴、むかつくんだけど、最近...。」

小林「ああ、岩佐な。調子こいてるべ。なんか媚びてるよな店長に。」

河東「ああ、あと女従業員と絡んでて休憩中うぜえわ。」

宮下「ちょちょ、コバぴー!下岡くんのワイシャツ姿、似合ってなかった?笑笑。」

木本「でも、下岡イケメンだからカッコイイべ、女からみたら、なぁ菅野さん?」

菅野「別にタイプじゃないし(失笑)。」

小林 河東「・・・」

ガチャ、ドアが開いた。

下岡「あ、いいよ、みんなタイムカード押しても。入って、入ってー」(笑顔)

ゾロゾロ事務所に入って行く。班長の向かい合ったデスクに大場班長と真新しいワイシャツとネクタイ姿の下ちゃんが突っ立ってた。

従業員「失礼します!主任!おはようございます!ご苦労様です!」

主任「はい、おはよう。」

班長「おはようございます!」

従業員「失礼します!おはようございます!ご苦労様です!」

従業員「失礼致します!おはようございます!ご苦労さまです!」


続々と皆、挨拶以外無言でタイムカードを押して、自分のネームの場所に掛けてある台鍵を取って、事務所を出ていく。朝のこの時間はある異様な光景である。例えればテレビで見た事のある暴力団の事務所風景の感じ。

従業員「失礼します!」「失礼します!」……

班長「はい!」

主任「はい、ご苦労さん」

皆事務所を出て階段を登っていく。朝の眠くてだるい階段を上がる足取りが重く、床下が固い。はぁー。


皆、スタッフルームで主任班長らが来るまで待つ。

木本「まだ来ねぇべ、あいつら。一本吸うべ」河東、小林「吸うか!」カチャ、ジュッ! ボッ!「ふうぅーうー」


ホワイトボードを見る。

河東「はぁー?また1階担当?なまら、ムカつく!」

小林「やった俺2階だ、ラッキー笑」

女性従業員はペチャクチャ喋ってる。もうほとんどみんな、煙草吸ってるんだなー。だから壁紙は真っ茶色。急いで無言で吸う。


...階段室から音がする。来たな。

河東「もう一本吸えるか…」菅野「無理だって!(笑)。」

全員壁に一列に沿って整列した。大場班長を先頭に下岡新班長、その後に主任がスタッフルームに入ってくる。

この主任、まったく図体ばかりデカい男で脳タリン。185cmある巨漢だが、ノミの心臓。権力者にはへりくだり、自分に甘く、目下に厳しい。

新人班長2人が、長机にドンと置いた一千万円の釣り銭が入ったドル箱。

大場班長が前に立ち、左側に下岡班長と主任が並ぶ。緊張感と下ちゃんの真っ白なワイシャツが、なんか笑える。今まで従業員の制服を着てた下ちゃんがね。でも馬子にも衣装に見え、とても偉く見える。姿で変わるもんなんだな。


大場班長「おはようございます!」

全員「おはようございます!」

大場班長「今日から班長が2人体制になります。これからやることも多くなるので、皆さん頑張りましょう。えっと、下岡君、あっ下岡班長だったね(笑)、班長、こっち来て挨拶して下さい(笑)」

下岡班長「おはようございます!皆さん今日から班長になりました。下岡です。改めて皆さんよろしくお願いします。班長の仕事でみんなの足引っ張らないように頑張りますんで、よろしくお願いします(照)。」

大場班長「えっ?もういいの?なんか豊富とか?」

下岡班長「あ、はい。頑張ります。」

一同「笑笑笑笑。」

大場班長「じゃあ、主任よろしいですか。」

坂下主任「はい!えー、今日から班長が2人体制になります。遅番は九藤班長、早番は今日から下岡班長になったわけだけれども、今までの従業員同士と立場が変わるからな、スタッフルームでいままでのように馴れ合ったりするなよ、いいな。班長達もそこのところしっかり気をつけろよ、いいな。で、みんなも今までと変わるわけだから、班長を「君付け」で呼ぶなよ。下岡班長とちゃんと呼ぶようにね。あと最近、店長の方からも規律が乱れてるって言われてるんでね、仕事とプライベートの個人間しっかり分けるようにね、きっちり行ってください。あと1階と2階の担当の方もね、気を引き締めてね、ホール巡回行ってください。ゴトの方もね、相変わらず入られてるんでちゃんとお客さんの手元見て回って下さい。僕からは以上です。」

(小林 何回同じことを言ってんだ?ボキャブラリーなくね?こいつ)

大場班長「では、店訓は、下岡班長いこう!」

下岡班長「はい(ニヤニヤ)」

下岡班長「店訓いきます!ひとつ!・・・ふたつ!・・・」

小林(いつもの店訓か...)

毎日変わらないパチンコ店の営業。客商売だしギャンブル場という鉄火場だから、トラブルは必ず起きる。起こらなかった日は珍しく「今日一日は平和で良かったなぁ」という満足感は得られるのだが、なんか物足りない。

そんな日はかならず飲みに行くもんなんだが。

とにかく今日は班長新人の白いワイシャツ姿が煌めいている、下ちゃんにみんな目がいってたと思う。

お金集めとかまだ担当とはやらない姿を見て初々しい感じ。でもよ、相変わらず従業員の数は足りねぇし、客の呼び出しランプに追われて、汗だくホール周り。疲れるって!そりゃ休憩時間もすぎるってもんだ。

なんだかんだ言ってこの仕事、集中していたら時間はあっという間に過ぎるんだ。特に客とのトラブルや機械のトラブルがあれば、時間が過ぎて従業員の休憩時間回すのも忘れる。まだこの時は担当が休憩時間回す権限あったんだけどね。

昼休憩過ぎて、かっちゃんがまたブーブー文句言ってる。こいつ面白いんだけどね、クスリ中毒だから一歩引いて付き合ってるんだけどさ。

河東「バッシーよ、1階今日ハンパねぇよ、マジで!ランプ取ってるの奇跡だわ。」

小林「今日は1階かっちゃんじゃなきゃ無理だべ、2階楽勝だわ~っても2階も結構忙しいわ。コイン足りねぇ」(てか、2階も大変なんだけどな…)

河東「ちょ!バッシー変われや!めっちゃキツイから1階!来てみ、お前!」

小林「ま、早番湯川いないからまだマシだべ、今日大場班長、下ちゃんと付きっきりだもな。みんな大変だべ。」

河東「今日、ドリームビーチ行くったけど、飲みにいこーぜ!白木屋か?」

小林「いいよ、今日はドリームビーチじゃなくても。中嶋誘うべ。じゃあ、これ吸ったらホール出るわ。」


ホールへ出るとさすがに新台入替で客の数は半端なかった。自動補給の島ががあるからまだモツものの、サンド補給とホッパー補給が全台手動だったらこの従業員の数じゃ無理だべ。

てか、中嶋と誰誘う?きっとあいつも来るだろう。まぁいいけどな。俺には自分の女いるし。でも空気のような女で、旭川から札幌に一緒に出てきてからというもの付き合いはもう高校以来になる。

俺は犬を飼っていてね、ミニチュアダックスなんだがプチブリーダーみたいなこともしている。犬が大好きだ愛してる、なぜなら人は裏切るが犬は絶対裏切らないからだ。

そんな新台入替後数日経って、客足も途絶えずに1階2階ともにホールも相変わらずてんやわんや。その早番は終わりに近づいて、引き継ぎの為に予備の補給メダルを作る為にホッパーからのメダル落としを新井さんに頼んで、メダル回収。サンドにメダル補給をして、最後の一服休憩に入る。

小林「業務連絡します、小林休憩入ります」

遅番連中が来ていてスタッフルームが賑わっていた。

湯川がいた。やっぱりクゥだ(九藤)、ワイシャツ着てる。

九藤「お、おう」

小林「何よ、その姿、いいんじゃね?」

九藤「まあな」

湯川「・・・」

相変わらずの不貞腐れた顔して、タバコふかしてる。いつも何が機嫌が悪いのかわからない。むずかしい奴である。昨日気安く話しかけて来たのに今日は一転してピリピリムードで、こちらから話しかけても会話のキャッチボールをしない。

小林と普段呼ぶのだが、たまに「小林くん」と言って来る時がある。キモイべ。

そして遅番の朝礼で追い出されるように10分休憩は終わった。これからは16時に遅番の担当との引き継ぎ作業をして、班長から指示を受けて、景品カウンターは引き継ぎ、喫茶も引き継ぎ、残りの女性従業員空き台清掃か、スタッフルームの清掃、男どもは1階から2階までのジュース箱上げ、駐車場の清掃、駐車場のナンバーチェック、他に色々と17時まで余計な作業をさせられる。

この中で一番やりたくないのが、ジュース上げだ。

1階にジュース倉庫が有り、大量のジュースのダンボールが山積みされている。夏場など自動販売機がMAXでフル稼働する時には半端じゃない量が積まれている時期もある。あの1ケース重いんだよ。

それを5ケース、6ケース背負って階段を上がるか、前に抱えて運ぶ、これがしんどい汗だくだ。たまに1、2ケースずつしか持たない奴がいるが、「それでも男か?」って感じで見下げて見てやる。

早く運べばジュース上げは早く終わる。

ちゃっちゃとやれや!と促す。

今日は駐車場のナンバーチェック。平面駐車場と立体駐車場の道外ナンバーとレンタカーの車のナンバーを全て控える。ゴト師対策である。ゴト師はほとんどが道外から抜きに(出玉)来る。それは内地ナンバーか大抵レンタカー使って店に来る。でもだ、遊戯台2000台を誇る巨大店舗なだけあって、平面駐車場、第一立体駐車場、第二立体駐車場があった。だからまともに1台1台ナンバーを控えていたら、引き継ぎ作業の約40分の時間でナンバーを控えるなんて間に合わない。従業員によってはバカ真面目に全台やる奴がいたが、ナンバーチェックでゴト師の車両など判別できるか?!出来ない。

一番楽なのが駐車場の清掃、ほうきとちりとり持ってゴミ回収掃除。でも駐車場が広すぎてかったるいから逆に時間が経つのが遅く、サボりがちになる。

ジュース上げ以外(一部)の従業員らはお決まりがあって、早めに自分の作業を終わらせたら立体駐車場屋上の階段室にみんなで集まり、缶コーヒーを飲みながら溜まって一服するのが恒例サボりの楽しみ。その伝統のサボり終焉が迫っていた…。

今日の仕事も無事に終わった、マジ疲れたわぁ。終礼も終わりカッちゃんらを乗せて東区の白木屋へ車を走らせた。

続く...


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