kemoxxxxxの日記

kemo cityからの脱出

回る風車はクルクルと。 【3】

☆この話はフィクションです。ここに登場する人物や会社名などはあくまでも架空のものです。

─こんな会社で働いてられない...

岩佐がしばらく休むことになった。

小林「やっぱ大卒は使えないね、身体がヤワっすよ」

砂子田「でもまた1Fホールさぁ人足りないっしょ、無理だって!この人数で全部ホール見るの」(新人男性従業員29歳)

木村「あれだべ、当分小林、お前1Fパチンコだろ、ずっと1Fだったりしてな(笑)」(古参の男性従業員30歳)

小林「いやー!やってらんないっすよ!マジで1Fキツいから木村さん代わってや〜」

御手洗「2Fはさ、そんな急がなくていいよね、ランプ取るのさ。もう当たり前にほっとく(客)。だってメダル作っておかないとなんないしさー」(古参の担当男性従業員19歳)

小林「はーぁ、さて仕事始めるかぁー、やめてぇわ」



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岩佐...(こんなに歩かされ、走らされるとは思わなかった。)

なぜ、革靴なんだろうか?運動靴ならこんな目に合わずに済んだ。男性従業員だけは黒の革靴は決まりごとみたいだ。

寮の部屋で俺は足を痛めた為、数日休みを貰うことにした。どうやら指導する従業員の中でも一番厳しい人に当たったらしい。辞めないよ、俺は。

足がとんでもなく腫れてしまって激痛だよ。主任と店長に直談判して足を見せたら休む許可を得た。

担当っていうのか?他のリーダー格の従業員は、お客さんの呼び出しランプを追いかけるのに大して急いで走ったりしない。なんなんだ?あの人は?

まぁ、いいや。ある程度歩けるようになったら出勤しよう。舐められないようにしないと。3日しか出勤してないから、このまま休み続けると休んだ日の分は給料から削られる。結局正社員って言っても日給月給制だからなぁ。まあ一年は働かずとも生活できる貯金はあるから、そのへんは気にしてない。

俺ってパチンコ・パチスロで負けることって無いんだよな、自慢じゃないけど。俺はダラダラ長打ちしないし。負ける奴の特徴の共通点、それは一日中打って負けが込んでも引かない。回収するまで財布にある金を全て使ってしまう。

俺は勝てない、不調だと思ったらその日や次の日に負けを回収しようとはしない。しばらくギャンブルから離れる。

そんな俺にしか分からないコツと強運で、サラリーマン副業収入と言えるような蓄財を貯めることが出来た。今の車もパチンコで勝って買ったものだ。

時々思う。

この強烈な金運は早くに亡くなった父と母の見えない存在が俺を護り、後押ししてくれているのでは。

そうそう大学以来付き合っていた彼女と、ついこの間別れを告げた。付き合っていた間浮気はした。女性には悪いが男女間の遊びが悪いと思ったことなんてない。

正直俺はモテる。というか口説けばすぐ落ちる。里美に浮気はバレたことはない。バレる浮気は罪だと思う、浮気をするならバレずにしないと駄目だ。ましてや俺の場合、本気で惚れた女なんて過去に一人としていないからね。

別れようと思った理由は?ただつまらなくなったから。飽きた、面倒くさくなった。

ちょうど新しく仕事もスタートしたことだし。 初めから里美とは「結婚」する気で付き合っていた訳ではないし、里美を愛してはいなかった。里美は俺に一途だった。

彼女は「新しい女は誰?一体誰なのよ!」って言い寄ってきたが、本当にただ別れたいだけだから。これが真実だから仕方ない。

実は「入寮する」理由もこれにあって、一切付きまとわれたくないからだ。里美はまだ諦めていない。引越した住所を調べかねない。里美はストーカー気質だから携帯電話の番号も変えた。

俺は客観的に見れば冷たい男だと自分でも思う。友人にも、「お前よくグサッと突き刺さる傷付く言葉を平気でよく言うよね」ってよく言われる。俺って男は。

決断力も自信がある。迷いはない。迷ったことなんて一度だってない。だからレストランへ行ってメニュー表を見て、なかなか決められない女にはイライラさせられる。そんな女とはずっと一緒になんて居たくない。

これから先は店で気に入った子がいれば声を掛けるし、お客さんとの出会いもあるかも知れない。次からの出社が楽しみだ。足さえ治れば、簡単な作業。俺は絶対店長になってやる。

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主任「業務連絡ー、えー当店班長ー、1F事務所側通路お回り下さい」

班長「了解しました」

俺は湯川聡28歳。他店で主任をやっていたが、知り合いを通じてこの店を紹介された。給料も多いし、なんといってもオープニングスタッフから班長という立場が魅力だった。前の店はあくまでも肩書きは主任だが、今の班長と同じ立場の業務をこなしていたし、店長が性格の悪い韓国人だったから嫌だった。

バカラ札幌店、新装開店してから今月で約1年を迎えた。まだパチンコ店としては若い。トラブルは数えきれないくらいあった。トイ(パチンコ台へ玉が流れるレール)の作りがずさんで流れが悪くてよく玉詰まりを起こす。

酷い、店舗の全てのシステムが酷い。漏電、配線の断線など当たり前に起きる。ホールコンピューターのデータ異常(ベース値、スタートの異常)、アウトボックス(出玉のINとOUT)の異常点検。まずこの店長もクズ。主任が使えない馬鹿で中卒。

店舗名が「バカラ」ならマジでこいつらはバカらだ。でも俺は俗に言う『羊の皮を被った狼』で奴らのご機嫌を伺っては、我慢を重ねて信頼を築いてきた。狙いはこの店の店長の椅子だ。こんな低能な主任など俺ッ様の敵ではないわ!

バカラ札幌店には開店同時期にもう一人の班長がいる。大場慎也31歳。奴とは表向き仲は良いが、逆番なんで引き継ぎで会って話するくらい。話してても退屈な人間だ、そして従業員に甘い、甘すぎる。甘ちゃん野郎。だから従業員からの評判が良い。「大場班長は超優しい〜」とかムカつくわ。

大場班長も他店の主任をしていて、このバカラ札幌店に来た。どうやら過疎過疎のパチンコ店だったらしく、辞めてバカラに来た。ライバルになる人間関係で馴れ合いはしたくない。いずれこいつも蹴落とす敵だからだ。

俺には兵隊が数人いる。俺を尊敬している従業員だ。一人は小林。こいつは仕事が出来て使い勝手が良い。直ぐ店長に助言をして担当に推薦してやった。歳上で生意気な従業員が多数いる。仕事も出来ないくせに文句ばかり言う。

そして俺は従業員にとても厳しく接している。朝礼での店訓は気に入らなかったら何度もやらせる。よく俺様の陰口を叩く従業員が沢山いる。おもしれぇ、言っとけ!俺様の悪口を言う奴は徹底的に叩きのめす。嫌なら辞めさせる。やめさせ方は色々ある。なんつっても俺にはある程度の権限があるからだ。店長のお気に入りだからな、俺は。

この仕事に対しての厳しい姿勢が店長に評価されているんだろ、主任より大事な仕事を任せられる事が多い。

あの木偶の坊(主任)でくのぼう)、

はそんな俺に嫉妬してる。主任の歳は23歳で見た目は30代後半に見えるし、デブで禿げてる。俺は28歳でイケメンだ。なめんなよ田舎もんの小僧が!

主任はワインレッドのセルシオを買ったのだが、俺もブラックで内装のこだわったセルシオを購入した。セルシオでワインレッドって...。俺のセルシオの方が絶対カッケーだろ。



ゆっくりと歩きながら事務所側通路に来た。 主任は遅いぞと言わんばかりの不機嫌な表情を浮かべて「湯川、空き台清掃させろ、ゴミだらけだべ、見てみろや今すぐインカムで指示しろ」

毎度のことだ、特になにも思わない。

私「はい。わかりました」

私「業務連絡です。1F、2Fともに島通路巡回中空き台清掃して下さい。空き缶とタバコのゴミ片付けるよう、全員今すぐ行って下さい」

従業員「了解しました」「了解いたしました」「了解しました」「了解いたしました」「了解しました!」・・・。

しっかし、こいつさぁたまにホール出てくるとうるさい。わざとなんだよ、当て付け。機嫌が悪いと特に酷い。 この人数で綺麗に整理整頓出来るはずないだろ。従業員は呼び出しランプを追うので精一杯だ。でも従業員には徹底して働かせる。指示通りにしてなかったら後で説教するまでだ。

13時すぎ、ホールの頭取り(定期的な時間でホール遊戯中の客の数をカウントする)を行う。それを終えると、そろそろ両替機に金を入れる時間だ。1Fは従業員の人数が少ないんで、2F担当従業員を金回収する為に呼ぶ。

私「業務連絡です。2F担当、2F事務所側通路お回り下さい」

2F担当「了解いたしました」

換金所にも金を持って行かなければならない。

あとホールは従業員に任せるが、トラブルやなんかで直ぐにインカムで呼ばれる。

従業員「業務連絡いたします!当店班長1F中央〇番両替機までお願い致します」

私「はい、了解です」

殆どが両替機やパッキー販売機の札詰まりエラーだ。

遅番の引き継ぎまでずっとパチスロの台サンドから、金回収して両替機に千円札を補充、約10台からの両替機から万券と五千円札、千円札を回収。2Fから1Fに降りてパッキーカード販売機からも金回収。

その後全て回収終えたら事務所の紙幣計数機で一万円札、五千円札、千円札を分けて100枚束にして輪ゴム2本でまとめてゆく。千円札の束だけを両替機の両替用釣り銭としてパチンコのドル箱に敷き詰めていく。

集めた万券と五千円券は、これも100枚の束にまとめパチンコのドル箱に敷き詰めて事務所にある2メートル大の巨大な金庫へしまって鍵をかける。

いくら持ち出しているかは必ず控えて置かなければならない。千円札の100枚束は何百万分持ち出していて、いくら両替機に移動させたかは、閉店後売上金の集計時に数字が合わなくなるので遅番の班長へ正確に引き継がなければならないから絶対にメモにチェックをいれておく。

ウチの店の売上金の計算はパチンコ(現金機)の売上金とパチンコ(CR機)売上金とパチスロの売上金は全て個別に分けて行うからとてもめんどくせぇ。一円でも合わないと一大事になるからな。

売上金は基本的に下部の方の金庫に入れ、下部の金庫を特殊なシリンダーキーで閉めたら、そのシリンダーキーを今度は上部の金庫内のフックに掛けておく。常に金庫から金を出し入れしている為、ダイヤルキーもあるが使ってはいない。上部の鍵をしめたら、そのシリンダーキーは班長机の一番上の引き出しに入れ鍵を掛ける。重要な物はだいたいその中へ入れて置くことになっている。その鍵は常に俺ら班長のスラックス、ベルトループに引っ掛け身に付けておく。

だから何か店長や主任から金庫を空けるようにインカムで指示があった場合は、事務所へ頻繁に呼ばれることになる。そして班長に金庫の管理をさせるということは、万が一でも金銭トラブル、または金銭の事故があった場合には全ての責任を負わせる訳ってことだな。

事務所はガラ空きだ。誰もいない時が多い。ま、管理はズサンだな。

そして計数を終えたらパチンコのドル箱を何段にも重ねて、担当従業員に持たせる。はっきり言って札束を詰めたドル箱は重たい。一度落としたアホな担当従業員がいた。説教してやったが。

再度ホールへ出て、両替用の千円札の100枚束をストックとして両替機の中に貯めて入れておく。忙しくなって両替機が両替中止になった時にすぐ補充しやすい様に千円札の束を100万〜300万円分位はストックしておく。遅番の班長の為にだ。

換金所に呼ばれたら、金庫から万券、五千円券を出して1F担当従業員を事務所に呼び出し、換金所(換金所は離れにある)まで必要な金を運ぶ。換金所に行くとそこの主であるおばちゃんと雑談をちょいとして、ホールへ戻る。金回収、金計数、金を持ってホールを移動する際には必ず担当従業員を付けなければならない。何か間違いがあったら大変な事態になるからだ。

換金所でいくら金を移動させたか、専用の用紙に自分のサインをして金額を書き、俺様のハンコを押して換金所と本社にFAXする。

そんなこんなであっという間に引き継ぎの時間を迎える。主任とも引き継ぎをして置かなければならない。遅番の大場班長へ主任から指示されたことを伝えなければいけないからな。

報連相だ。

15時半頃から、遅番の連中がスタッフルームに集まってきて、出勤し始めてきた。俺は金回収し終わったらスタッフルームで煙草吸って、女従業員をいじくって遊んだりする。あとはホールへは出ない。めんどくせぇし。店長もたまにしか事務所にいないし、主任と引き継ぎが終わったら主任は休憩入るから、サボっててもなんともない。

主任「じゃあ、湯川班長ナカ(夜にまた出勤)休憩入りますんでよろしく」

俺「了解です」

そして、遅番の朝礼が始まるのでホールに出る。

はぁ、今日もだるかったぜ。

次回【4】へ続く

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